除夜の鐘の回数に秘められた意味や由来をご存知ですか?

鐘を108回撞く理由について知らない方も多いので、本記事で解説します。

目次

 除夜の鐘の回数の由来

まず、除夜の鐘は、大晦日の日付が変わる深夜0時を挟んで108回撞かれ、107回を12月31日のうちに鳴らし、残り1回は新年に撞きます。

そして、鐘を108回撞くようになった由来としては、以下の3つの説があり、煩悩の数とする考え方が有力視されています。

  • 煩悩の数を表す
  • 一年間を表す
  • 四苦八苦を表す

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煩悩の数を表す

煩悩というのは、仏教では人間の心身の悩みや苦しみを生み出す心の汚れとされており、これらをすべて消滅させるために除夜の鐘をつくのです。

では、次に煩悩の数を計算していきます。

まず、人間には以下に挙げたように六根と呼ばれる6つの器官があります。

  • 眼(げん)
  • 耳(に)
  • 鼻(び)
  • 舌(ぜつ)
  • 身(しん)
  • 意(い)

そして、これらの六根の各器官には、以下3つの人間の心の状態が反映されていると考えられています。

  • 好(こう):気持ちが良い
  • 悪(あく):気持ちが悪い
  • 平(へい):どちらでもない

例えば、身(しん)という器官に潜む煩悩は、好(こう)、悪(あく)、平(へい)という3種類の心の持ち方により決まります。

つまり、この時点で煩悩の数は6✕3で18種類ということになります。

 

さらに、上記3つの心の状態は、それぞれ以下の2種類に細分化されます。

  • 浄(じょう):きれい
  • 染(せん):きたない

例えば、平(へい)という心がよくも悪くもない状態においても、そこには浄(じょう)と染(せん)が潜んでいるということです。

つまり、この段階で、煩悩の数は6✕3✕2=36種類となります。

さらに、人の転生が何度も繰り返されると考えると、これらの煩悩の数は、「時間」によって変化していくため、上記で算出した煩悩の数は以下の三世にそれぞれ適用されます。

  • 前世
  • 今世
  • 来世

以上から、煩悩の総数は、6✕3✕2✕3=108種類と計算されます。

一年間を表す

除夜の鐘108回は、一年間を表しているという説もあり、これは月の総数(12)、二十四節気(24)、七十二候(72)を加算した数が108となることが由来とされています。

二十四節気というのは、春夏秋冬の4つの季節をそれぞれ6つに分けた4✕6=24の期間に相当します。

立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、

秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒

そして、七十二候では、二十四節気を約5日ずつ3つの期間に分けており、24✕3=72となるわけです。

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四苦八苦を表す

除夜の鐘を鳴らす理由としては、四苦八苦を取り払う意味が込められているという説もあり、「4×9+8×9=108」という語呂合わせではないかという意見もあります。ちなみに、四苦八苦における「苦」というのは、「苦しみ」ではなく「思うようにならないこと」を意味しており、以下の四苦を根本的な苦としています。

そして、以下に挙げる4つの「思うようにならないこと」を加えて、全部で八苦と呼ばれています。

  • 愛別離苦(あいべつりく) – 愛する者と別離すること
  • 怨憎会苦(おんぞうえく) – 怨み憎んでいる者に会うこと
  • 求不得苦(ぐふとくく) – 求める物が得られないこと
  • 五蘊盛苦(ごうんじょうく) – 五蘊(人間の肉体と精神)が思うがままにならないこと

108回撞く理由

除夜の鐘を108回鳴らす理由については、以下の3つの説がありますが、煩悩をすべて振り払うためだとする説が有力視されています。

  • 煩悩の数を表す
  • 一年間を表す
  • 四苦八苦を表す

そして、除夜の鐘108回のうち、最後の1回を大晦日ではなく日付が変わった新年に撞くのは、新しい1年間を煩悩に悩まされずに過ごしたいという願いが込められているからなのです。

また、除夜の鐘を普通の日ではなく、わざわざ大晦日に撞くのは、普段仏教における厳しい修行を積んでいない我々一般的でも、除日の夜には心の乱れを祓う力があるとされているためです。さらに、鐘の音には、苦しみや悩みを断ち切る力が宿っていると考えられているので、人の心身を乱す108個の煩悩を鐘の音で払拭し、整った心と身体で新たな年を迎えるためです。

除夜の鐘は何時頃から撞くのか

除夜の鐘といえば、京都の知恩院が有名であり、毎年多くの見物客で賑をみせます。知恩院では、20時頃から知恩院が開門され、参詣者が続々と入門し、22時40分頃に除夜の鐘を打ち鳴らし始めます。

除夜の鐘が開始される時刻については、各寺院によって異なり、参拝者が実際に鐘を鳴らせるところもあるので、興味のある方は、お近くの寺院に問い合わせてください。

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